物流業界は私達の生活に欠かすことの出来ない役割を担っています。様々な商品を手にとって使うことが出来るのも物流業界があってこそ出来ることです。

昨今ECの発展などのIT化によってその重要性は日々、増しています。その証拠に国土交通省の物流政策課が発表している「物流を取り巻く現状について(2018年)」によると運輸業界の市場規模は約39兆円あり年々、成長している業界です。

今回は物流業界で働くトラックドライバーについてご紹介します。職業を理解を通じて、業界の課題や今後の方向性が分かります。

トラックドライバーの働き方の実態

必要としている人に荷物を届けることを仕事としているのがドライバーです。毎日どこかでトラックを目にするため、その仕事内容は想像しやすいものではないでしょうか。しかし仕事のやりがいや平均給料、労働時間について詳しい方はご存知ですか?ここではトラックドライバーの働き方についてご紹介します。

やりがいについて

長距離やルート配送など、その運送業者のビジネスモデルによって働き方の差がありますが、主なやりがいの例として以下のことが挙げられます。

  • 社会に必要不可欠な役割を担える
  • 多くの人、場所、製品に巡り会える
  • 配達スケジュールを効率よくこなす など

どの仕事も共通して言えることですが、誰かに喜んでもらえることがやりがいになります。トラックドライバーならではの「やりがい」としては、多くの人、場所、製品に巡り会えることではないでしょうか。人と人を繋ぐ、物流業界だからこそ味わえる魅力です。

平均給与について

厚生労働省が発表している「平成30年賃金構造基本統計調査」によると、トラックドライバーの年間所得は410万~450万円ほどです。月に約38万円の給料を手にしているため、他の産業より多くもらっているイメージを持たれるかもしれません。しかし全産業の平均が年間497万円のため、全体平均よりも少ないことが現状です。

労働時間について

同じく厚生労働省が発表している「平成30年賃金構造基本統計調査」によると、年間おおよそ2,500時間働いています。全産業平均が2,124時間のため他の産業に比べて長く働いている方が多いです。

トラック業界が抱える課題

産業全体としては成長し続けている物流業界ですが、トラック事業者に関しては次の2つの課題を抱えています。

  • 人手不足の問題
  • トラック事業者の交渉力の問題

「人手不足」はトラックによる運送事業そのものに直結する問題です。なぜなら人が荷物を運ばないと、お客さんが求める場所に届けることができないからです。また「交渉力」については収益性に影響します。トラック事業者の90%が中小企業のため値上げ交渉しづらい現状にあります。

課題を乗り越えるために行われている施策

国土交通省は社会に必要不可欠な物流業界の課題を解決し持続的に成長させるため、様々な施策を実施している最中です。本章では国や企業の取り組みを紹介します。

物流事業者が抱える課題について詳しく知りたい方は「国土交通省公開の標準運賃の内容とこれからを徹底解説」をあわせてご覧くださいませ。

国土交通省の白書

国土交通省は「物流を取り巻く現状について」で業界の現状や課題、今後の展望について発表しています。とりわけ人手不足問題を問題視しており、人手不足につながる荷待ち時間など間接的な要因についても記されています。

ホワイト物流

国土交通省が推進している「ホワイト物流」はトラック輸送の生産性の向上働きやすい労働環境を目指す取り組みです。トラックドライバーの人手不足の裏側にある、これら2つの問題を解決する運動を行っています。

民間の取り組み事例

国は物流業界が抱える課題を解決しようと様々な取り組みを行っています。これは民間企業も同じです。課題を自らの工夫やソリューションを利用することで解決し、成長につなげようと取り組んでいます。ここでは代表的な例をいくつかご紹介します。

物流×業務効率化の取り組み

集荷先や配送先の集約

出荷に合わせた生産、荷造り

物流システムや資機材の標準化 など

物流”×”IT”の取り組み

予約受付システム

オンデマンド運送

混雑ルートを避けた配送 など

これから物流業界の求められる働き方

物流業界は今、魅力的な業界を目指しています。Eコマースの台頭で個人向けの小口配送が増えたように、市場の環境が変われば働き方が変わります。昨今の物流業界の改革でトラック運転手は生産性の向上が求められるでしょう。そのため配送にかかった時間や作業した内容など働き方の記録をし、改善を行うことが求められるのではないでしょうか。

まとめ

本稿ではドライバーの働き方と業界の立ち位置についてご紹介してきました。物流業界は自らが抱える人手不足適正な取引生産性の向上などの課題を解消するため、国や民間企業の垣根を超えて取り組んでいます。これらの課題解決を通じ、今後も物流業界が持続的に発展することを願います。

 

ペンネーム:陣内智徳