コロナウイルスの影響で、全世界で物流の一時停止措置を取るケースが増えてきています。日本国内の運送業者でもそういった動きが見られます。ここではBtoB運送をしている企業をいくつかピックアップし、コロナウイルスの影響について見ていきます。

企業間配達がメインとなっている企業の現状とは?

大手、中小問わず、様々なBtoB運送業者の現状を調べてみました。

日本通運

日本通運は東アジアの物流に大きく関与していましたが、今では制限が増えてきています。

  • 中国の発着に関する物流の大幅減便
  • 中国国内のトラック通行制限による物流減少
  • 中国国内の鉄道貨物による搬出来入の制限

日本と中国の物流制限だけでなく、中国国内でも移動手段やルートが限定されているため、なかなか日本に輸出できない状況が続いています。そういった状況を回避すべく、BCP対応ソリューションというものを事業としてスタートしています。これは簡単に言うと中国発の物流はヨーロッパやアメリカ向けの海上や空輸を経由して日本に届けるというサービスです。まだ中国からの輸入や輸出制限がされていない国もありますから、そういったところを経由して日本に届けてくれます。

日本通運は全世界に拠点を構えていて、中国の場合は上海に拠点があります。そこからヨーロッパやアメリカの輸送を行った場合、9日、10日ほど掛かります。そしてさらに日本へ発送となると2週間以上はかかる状況です。現在、ドイツやフランス、スイスなど国境封鎖を開始した国が多いですが、それでも物流は維持しているケースが多いです。そういった状況で、物流自体は何とか日本に届く状況が維持できていると言えます。

日本郵便

日本郵便はBtoB向け受注管理も行っています。日本郵便ではコロナウイルスに感染したグループ社員が発生しましたが、その感染したグループ社員がいる部署および、濃厚接触の可能性がある方に対しての措置を行っています。グループ全体として事業を休止しているわけではありません。

海外の物流に目を向けると中国宛の国際郵便物や韓国宛、モンゴル宛、香港宛の国際郵便物で遅延の影響が出ています。中国宛の国際郵便物はほぼ引き取りを停止している状態で、はがきや書状など一部のみの扱いとなっています。

日立物流

日立物流は国内海外問わず法人向けの物流サービスを行っています。企業だけでなく、研究所や病院、学校などへの配送、移設作業も行っています。日立物流ではコロナウイルス対策として専門のBCP対策チームを発足。基本的には事業を中断するという考えはなく、安全確認を迅速に行った上で業務を続けています。従業員のマスク着用、うがい手洗い等の実践、社員の通勤時間の時間差をつけ、リスクを回避、従業員が各自所有する携帯電話などによる安全確認、日々の健康チェックなどを実施しています。また、社内での長時間会議の縮小などを行い、リスク回避に努めています。

第一貨物

第一貨物は施設や車も自社で所有して運営しているため、柔軟な対応ができる輸送業者です。飛行機、船、鉄道、トラックとあらゆる輸送方法があります。各方面に向けて輸送の効率化やコスト削減などを考慮して物流を行っています。こういった輸送ルートがもともとたくさんある業者に関しては、コロナウイルスの影響を特に受けていません。例えば空輸便が減ってしまえば、貨物で届ける移動手段があり、多少の配達遅延があるにせよコロナウイルスの影響で大幅な配達遅延が起こっていることはありません。

大和物流

大和ハウスグループ企業で日本全国に物流センターの拠点を構えています。大和物流株式会社は、国際物流業務も行っています。海外から荷物を運ぶ場合は海外に所有する倉庫から通関、港での荷下ろし、空輸や船を経由して荷物が持ち込まれます。こういった海外の配達業務も行っているケースでは、中国を中心とした各国の輸入制限が発生しています。一方、国内企業に対する運搬業務に支障は出ていません。

サンライズ

サンライズは関東を中心に飲料や石油、ダンボールなどを企業へ配達している運送業者です。日本国内への配送の場合、道路の進入制限などは発生していないため、業務に支障は出ていません。コロナウイルス感染者が増加傾向とはいえ、配達自体に大きな影響はなく、配達スタッフのマスクの着用、消毒などを行っている以外は特に影響が出ていません。

国内企業間でのコロナウイルスによる影響は特に無し

運送、物販事業で国内の企業間では特に影響は出ていません。ただし、下記対策や制限措置などが発生しています。

  • 従業員の安全性を考え、時差出勤の許容
  • 一部業務のテレワーク活用
  • 長時間会議の縮小
  • 対面での荷物受け渡し回避

従来の配達方法だとドライバーが企業に伺った際、認印などのハンコをもらうケースが多くありましたが、今はその方法を変更し、クライアントの指定場所に荷物を置き、配達完了というシステムを採用する企業が増えています。受領印を貰わないことで、対面を回避するのが狙いです。

ヤマト運輸では対面せず、荷物を受け取れるPUDOステーションの普及をさらに強めています。PUDOステーションは宅配便ロッカーのことで企業間だけでなく、個人の受け取りも行えるということで多くの需要があります。

コロナウィルス対策はクライアント相手だけでなく、企業内での対策も実施しています。例えば、物流関係の仕事で多い1日の作業報告。配達が終わった後に会社に戻り、Excelなどで入力してデータをまとめるケースが多くありましたが、その部分はテレワークで対応。長時間、室内で複数名が過ごす環境を避け、ウイルス感染予防に努めています。

まとめ

以上、コロナウイルスの影響による宅配業界の現状を紹介しました。企業間取引が中心となっている宅配企業は対面の際に細心の注意を払い、感染予防に努めています。

一方、企業間取引が海外を経由するケースだと、どうしても輸入制限が出ているので荷受の受付停止や遅延が起こっています。日本通運のようにヨーロッパやアメリカを経由して配達する措置をとっている企業もありますが、ヨーロッパでもコロナウイルス感染が拡大している今、そういった方法すら今後難しくなってしまうかもしれません。

ペンネーム:2010start