「注文した商品がなかなか届かない」
「注文したものが数週間、配達が遅れるとの連絡があった」
こういった消費者の配達遅延に関する悩みの声が上がっています。
新型コロナウイルスの影響で、各運送会社では配達遅延が起きています。
なぜ新型コロナウイルスが発生すると配達遅延が起こるのか、その原因に迫ります!

配達員の感染

大きく影響を及ぼしているのが、配達員の感染です。
配達員が感染してしまうと、その人物だけ隔離すればよいという話ではありません。
配達員が感染した場合、その配達員の作業スペースや濃厚接触者と思われる従業員の特定、周辺環境の消毒作業などが必要になってきます。
特に濃厚接触者の感染は二次被害を起こす可能性がありますので、検査結果が出るまではその従業員も担当業務に就けない状況に陥ります。
その結果、担当部署全体が機能不全に陥り、配達できない状況が生まれ、配達遅延が起きます。
これは実際に運送会社で起こっている事例です。

佐川急便

愛知県名古屋市港区の佐川急便に勤務していた60代男性が発症した事例です。
港営業所の宅配協力会社社員が新型コロナウイルス感染で陽性反応を示したことが判明。
社内の濃厚接触者と思われる従業員は自宅待機。
該当者は保健所の指示に従い検査。
その他従業員もマスク着用や検温が手洗いうがいの徹底など、感染防止対策を実施。
202038日に判明しましたが、遅延は数日でとどまり、312日には改善されています。
このように1人の感染者が出るだけで、全体に影響が出るため、その感染者が所属していた担当地域では遅延が起こっています。

日本郵政グループ社員

宮崎県西臼杵郡高千穂町(田原郵便局)、大阪府大阪市此花区(新大阪郵便局)、新潟県三条市(三条郵便局)、それぞれ各グループ社員が新型コロナウイルスに感染していることが判明。
濃厚接触者が判明した社員は自宅待機。
窓口業務を休止し、消毒活動などを行う。
担当エリアはゆうパックのお届けが半日から1日程度の遅延。
なお、通常の郵便物が発送遅延なし。
いずれの地域も40代男性スタッフが発症していたことが明らかになりました。
各地域、業務はすでに再開しています。
このように遅延は数日程度で済んでいるケースが多いです。
あくまでも感染者が出た場合はその担当営業所のみの話となっていて、グループ会社全体で宅配業務が停止しているわけではありません。
そういった意味では、まだ配達員の新型コロナウイルス感染拡大が広がっているわけではありません。

人員不足による配達遅延

配達遅延が起こる理由として、人員不足が挙げられます。
上記で紹介したように感染者が出てしまった場合はその該当者だけでなく、濃厚接触者と思われる従業員も業務が行えません。
そうなると必然的に配達できるスタッフ数が足りなくなります。
配達スタッフの安全が確認されるまでは配達できませんので、配達遅延が起こってしまいます。
そしてもう一つの要因は、アルバイトやパートの従業員が勤務できなくなること。
運送会社はアルバイトやパートさんに頼っている部分も大きいです。
配送スタッフの中には小さいお子さんの父親や母親という人もいます。
現在、小学校や中学校などは休校になってしまっているため、自宅で子供の面倒を見ることが必要になり、勤務できなくなったというスタッフも多いです。

その結果、配達員が欠勤となり、人員不足に陥る状況に。
学童等は運営しているところが多いですが、それでもキャパシティに問題があるため、全員が全員、子供を預けられるわけではありません。
大手のヤマトや佐川急便では、アルバイトやパートの配送スタッフを急募して、何とか状況を改善しようと日々努めています。

駆け込み需要の増加

配達遅延が起こっている理由として、駆け込み需要の増加も挙げられます。
マスクに代表されるように除菌に必要なものや日用品は現在飛ぶように売れています。
日本政府はマスク以外の日用品などについて「生産が間に合っているのでパニックにならないように」と呼びかけていますが、実際問題、品薄状態が続いています。
例えばトイレットペーパー、キッチンペーパー、ティッシュペーパー、ウェットティッシュなどは軒並み販売と同時に無くなるケースが多いです。
ドラッグストアやスーパーなどでは、1家族1品限りなどと限定販売を行っているケースも目立ちます。
こういった状況があり、ネット上でも日用品や除菌アイテムも購入する人が急増しています。
ネットでの注文が増えれば、それだけ配送スタッフの数も必要ですから、配達員の需要が高まります。
しかし現在は上記述べたように、配達員の感染、配達員の欠勤などにより人員が不足している状態です。
「配達するものは増えているのに配達する人は減っている」という状況になれば、必然的に配達遅延が起こります。

航空便の運休

世界各国で新型コロナウイルスによるパニックが起きている状況で航空便の減便も目立ちます。
例えば、ANAグループでは1月から3月末にかけて約2,000便、JALグループでは2月から3月末にかけて約1,200便が運休となる見通しです。
それだけの数が配達できない状況ですから、配達遅延が起こっています。
この状況を受けて、ヤマト運輸では国際クール便の荷受を停止しています。
クール便は保冷して配送しなければいけないものであるため、品質の影響を考慮し、荷受け中止を決定しました。
日本は海外製品の輸入も多いです。
特に中国産の部品パーツや食材なども多かったので、そういったものが減ってしまうと国内製造メーカーにも影響が起こり始めています。
「部品が届かないから作れない」といった製造会社も出てきています。
航空便の影響は運送会社だけでなく、製造会社にも影響を与えています。

まとめ

以上、新型コロナウイルスの影響による配達遅延の理由について紹介しました。
簡潔にまとめると、

  • 配達員の感染の影響
  • 配達員の人員不足
  • 駆け込み需要の増加
  • 航空便の減便、運休

上記が非常に響いていると考えられます。
まだまだヨーロッパでは拡大する動きも見せていて、新型コロナウイルスはとどまることを知りません。
今後、配達業務が正常化するまでは数ヶ月かかりそうな状況です。

 

ペンネーム:2010start