青空の中走るトラック
ペンを走らせる手元
走るトラックの後ろ姿

運送のトラブルは、運送業者にとって避けては通れないものです。荷主からの大きなクレームにつながる前に、対処方法を考える必要があります。

今回の記事では全般的な運送のトラブルについて・トラブルの対応法などについて紹介をしていきます。わたしが物流事務として経験・見聞きしたトラブルなどを含めて記載をしているので、ぜひ参考にしてください。

運送のトラブルとは

配送時にトラブルが起こることは、珍しいことではありません。頻繁に発生するトラブルである「破損事故」「誤送」「納品物の遅延・配送がされない」ことについて、これから説明を行います。

また、わたしが物流事務として実際に体験したトラブルも併せて記載をしています。

破損事故

運送事故のトラブルで一番起こりやすいのが、破損事故になります。

破損事故とは、基本的に「運送中に商品・箱がなんらかの影響で傷ついたり壊れたりする」ことを指します。
化粧箱の破損だけでなく、箱内の商品も壊れて届くことも、物流では起こりやすいトラブルです。
ケースによっては、化粧箱はキレイで傷がないように見えるけども、箱内の商品だけが壊れていることもあります。
破損事故は配送物の落下で起こることが多いです。

どちらかと言えば、倉庫へパレット納品で大量に納入するときよりも、個人宅への配送の際に起こりやすいトラブルだと言えるでしょう。

「配送物に傷がついた、壊れた」という理由のほかにも、破損事故として扱われる場合があります。
商品に汚れが付着して届いた場合や、商品にキツイ匂いがつくことも破損事故として扱われることも。「納品物がキレイな状態で届かなかったこと」を破損と指す場合もありますよ。

誤送

次にご紹介をするのは、誤送です。
誤送とはその名前の通りに、本来の届け先とは違う場所に商品を配送することを指します。
ドライバーによる住所の読み違いによって起こりうるラブルです。

もし誤送が起きた場合は、まずは間違えて届けた商品の引取りが必要になります。そして引き取った商品を、正しい配送先に届けます。商品が使われてしまう場合もあるので、ケースごとの対応が必要になります。
商品の引取から再配送まで、時間がかかる場合があるため、問題が解決するまでに期間を置きやすい傾向があります。

納品物の遅延

「約束した時間に配送物が届かない」「配送がされていない」、といったトラブルもあります。運送会社の仕分け間違いにより、当初運ぶ予定だった最寄りのセンターではなく遠方のセンターにあり、センター同士で移動をさせるために配送に時間がかかるケースがあります。
特別な配送日時の指定がされているものでなければ、大きな問題にはなりません。

一方で確実に納品時間が指定されているものに関しては、大きなトラブルに発展しやすいです。
実際にわたしが体験したケースを紹介します。納品時間厳守で運送会社に大口配送の依頼をかけましたが、運送会社内での「確認漏れ」で商品が時間通りに届かなかったことがありました。納品先の担当者が限られた時間しか配送先にいることができなかったため、受け取ることができず、クレームに繋がりました。詳細は書けませんが、運送会社の担当者が荷主に謝罪に伺うことになりました。

配送がされない(紛失事故)

「配送がされない」ケースでは、商品がどこかで無くなっているケースもあります。これを紛失事故と呼ぶことも多いです。

運送会社内で商品の捜索を行うため、配送物が見つかるまで時間がかかることが多いです。もし運送会社内で見つかり配送が無事にできた場合でも、見つからずその後の手続きが必要になる場合でも、個人的な体感では大きなトラブルになる傾向があります。


破損の場合だと、責任の所在がわからないことも

はっきりと責任の所在がどこにあるのかわからないこともある「破損事故」。どこの段階で破損したのかわからない点、破損の防止方法についてこれから説明を行なっていきます。

どこの段階で破損したかわからない場合も

「配送して確認したときに、箱は壊れてなかったけど、納品先から「破損」の報告がきた…」なんてことは、よく起こることです。
納品先が箱を自分で傷つけたかもしれませんし、ドライバーの確認漏れの可能性もあります。

さらに言うと、物流の流れの例として
メーカー・個人など→配送会社→倉庫→配送会社→納品先
のように、荷物が配送会社や倉庫へ移動を行うため、どの段階で傷ついたかわからないケースもあります。
たとえば倉庫で倉庫スタッフが商品を落とし壊したけれども、報告せずにごまかし、箱だけ変えて壊れた商品がそのまま出荷されることもありえます。

明らかに配送中に起こった破損のもの以外だと、「どこで破損が起きたのか」「なぜ起きたのか」の究明が難しいこともあります。

防止として破損をしないように荷物の扱いに注意

破損防止として、荷物の取り扱いを注意しながら行うことが大切です。

とくに破損が起きやすいのは、トラックの振動ではなく、人が荷物を取り扱うときだと言われています。トラックに荷物を積み下ろすとき、集配用のセンターに移動させるときなどにも安全に運べるように環境を整えていく必要があります。
割れ物が入った配送物の場合は、割れ物が入っていることを示すシールを貼り、ドライバーに注意喚起を促す動きもあります。

また近年では衝撃を感知するシールを貼り、安全対策を行う運送会社も増えているようです。


トラブルに対応するためには

では、トラブルに対応するにはどのようにすれば良いでしょうか?この記事では、コンプライアンスを見直すこと、「やりとりを書面で残す」こと、をご紹介していきます。

コンプライアンスを見直すこと

トラブル防止のために企業のコンプライアンスを見直すことも大切です。ちなみにコンプライアンスとは「法令遵守」と理解をされることが多いですが、マニュアルや手順を作ることもコンプライアンスに含まれます。ここで指すコンプライアンスとは、マニュアル・手順のことを指します。

配送物を扱うときに、安全性を確保する仕組みを考えることが必要になります。どうすればトラブルが未然に防げるかを、過去の事例を省みて実際の現場の声を聞きながらも、新たな取り組みをマニュアルとして入れていくことが必要になるでしょう。

「やりとりを書面で残す」ことも必要

起こりがちなことですが、「言葉だけ」のやりとりの場合、証拠に残らず揉めることがあります。やりとりをスムーズにするために口頭だけで契約内容を確認するのでは、トラブルが発生したときに「どちらの問題なのか」がわからなくなります。
言った、言わない、で大きく揉めることは避けたいため、やりとりをするときは必ず書面で残しておきましょう。


まとめ

今回の記事では運送業界でのトラブル例と対処法をご紹介しました。業務を行なっていると、破損や配送遅れなど、さまざまな問題が起こることがあります。コンプライアンスの見直し、「やりとりを書面で残す」ことなどを通して問題の解決を図りましょう。

ペンネーム:山中かおり