ハートを載せた青いトラック
トラックとダンボールのアイコン
キーボードを走る木のトラック

荷主のみなさんも、もちろん運送会社のみなさんもご存じの『Gマーク』です。今更ながらという感もあるのですが、おさらいも含めてGマークを考えてみたいと思います。1990年に「貨物自動車運送事業法」が施行され、同時にスタートしたこのGマークですが、全日本トラック協会の発表によると『平成30年12月13日現在、安全性優良事業所は25,343事業所あり、これは全事業所数の29.6%にあたります。』とあります。同一事業者で複数の事業所を登録しているところもあるので、事業者数のみでの比率で考えるともっと低くなってしまうかも知れません。スタートして30年近く過ぎる現在での登録率20%台を多く見るのか少なく見るのかは立場によって変わってくると思います。

筆者のいた建設業界では『TQC』から始まり『ISO』へと会社には専門部署まで出来て、仕事の手順が明確化されたり、書類が増えたりと現業としては負担が増えるばかりで不評でした。しかし、建設業界でもそれらが国、地方公共団体からの発注の条件となったり、現業で不評であっても作業手順が標準化されたりとメリットもありました。『郷に入らば郷に従え』ではありませんが、御上が定めたことには逆らえませんし、一度やると組織で決めたことであるならば最後までやり通し、そこで生まれたメリットを享受すればいい、というのが筆者の考えです。

緑色の認証マークにある『G』は『OOD』と『LORY』の『G』、建設業を歩いてきた筆者には格好良く見えるのですが。

Gマークの目的と現状

公益社団法人全日本トラック協会が『トラック運送事業者の交通安全対策などへの事業所単位での取り組みを評価し、一定の基準をクリアした事業所』として認証して与えるのが『Gマーク』です。ひと度起こしてしまえば大惨事となるトラックの交通事故を荷主も運送業者もそして一般の方々を含め、誰一人として望みはしないでしょう。Gマークの認証は・安全性に対する法令の遵守状況・事故や違反の状況・安全に対する取り組みの積極性などを厳しい基準で評価され、安全・安心・信頼の証しとして与えられます。

誰もが良い制度と認識しながらも30年近くたった現在なお20%台の理由があるようです。

Gマークのメリット

各『荷主』、『運送会社』のみなさんは個々のGマークのメリットを十分周知されていると思います。その中で、一番大切なことは社内の全員にこのGマークの意義伝えることと、それを取得する意味を会社内で徹底することで交通安全への意識が高まり事故の減少につながることだと思います。そして実際Gマークの認証マークを受け取っている事業所の交通事故件数は半減しています。このことは会社の経費を削減するばかりでなく、社員と社員の家族の幸せへとつながります。”当たり前の幸せ“には皆、なかなか気づけないものです。しかし、最悪を想定してそれを予防して社員の”当たり前の幸せ“を築くのが経営者の責務です。

このGマークを取得するためには多くの労力と時間が必要となりますが、これが回りまわって会社の利益に返ってくると考えれば無駄な労力と出費にはならないでしょう。

Gマーク取得評価項目の一つである省エネ運転は経費削減につながり、自動車保険・貨物保険の保険料も下がります。その他の制度としてのメリット等もありますが、最終的には『荷主』からの信頼が増し、新たな仕事に結びついていくことが最大のメリットとして考えることが出来るのではないでしょうか。

『攻撃が最大の防御』だと、前向きに考えることが一番ではないでしょうか。

Gマークのデメリット(とされること)

世の中にあるすべての制度にはデメリットと考えたくなることが必ずあります。しかし、よく考えればここでのデメリットは当たり前のことです。

  • まずは、このGマーク取得のために用意する資料の作成のために多くの人手と時間が要ります。
  • 日常の帳票作成を含め、管理業務の負担が増加します。
  • 運転手への教育(安全運転・省エネ運転)の労力が必要となります。
  • 安全向上のための日常の取り組みが必須となります。

Gマークの現在での登録率20%台の原因はここにあるようです。『労をせず多くを得る』なんてことでよいことなど決してありません。『Gマーク』取得のために社内が一丸となって前進することは、最終的には安全がもたらす目に見えない経費削減につながります。そして、『荷主』から信頼が増して、仕事が増えます。最終的には利益の増大につながっていきます。『運送会社』にとってこんなによいことは無いのではないでしょうか。

Gマークの行方

全国に82,000カ所以上ある事業所を2年に1度と言えども各地にいる420名ほどの適正化事業指導員が2人1組で行う巡回指導にはかなりの無理もありそうです。

Gマーク取得後のメリットのひとつとしてⅠT点呼の導入が可能となります。ⅠT点呼だけではなく、Gマーク取得時、更新時のⅠT化を進めることも不可欠でしょう。そうすれば取得のための費用も取得後の維持経費も減少するでしょう。零細事業所でもGマーク取得が容易に出来て、その後の管理も簡単に続けることが出来るようにすれば登録率20%台の数字は飛躍的に伸びることでしょう。本来の目的を考えて国や関係機関には動いてもらいたいものです。

今後『自動運転化』され『隊列走行』などが恒常的になる日が来ればこのGマーク取得の審査方法も変化していくのではないでしょうか。Gマーク取得のⅠT化にはいいチャンスではないのでしょうか。

Gマーク取得は間違いなく『運送会社』にはメリットがあります。そして『荷主』ばかりではなく世の中の全ての人の幸せにつながるでしょう。『Gマーク』取得で取り組もうとしている・安全性に対する法令を遵守すること・事故や違反を減らすこと・安全に対する取り組みの積極性を向上することこれらのことは運送業界の関係者だけで周知しているのではなく、世の全ての人たちに運送業界での取り組みを知ってもらってもよいのではないでしょうか。そうすれば本当の意味のGマークの安全・安心・信頼の証しとなりうると思います。

筆者は街角で見かける緑色のGマークのこんなに重い意味合いをこれまで知るすべを持ち合わせていませんでしたからなおさらそう思います。

(筆 : 三河のジョナサン)

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